妖精の涙
声のするほうを見ると、庭に一人の少女が立っていた。
でも、驚いているのは咲穂だけみたいだ。
「もしかして……深雨?」
「うん、そうだよ」
深雨は微笑み、咲穂に近付いてきた。
「ありがとう、明の話をしてくれて。これ、プレゼント」
深雨はそう言って、四葉のクローバーを押し花にした栞を差し出した。
「これって……」
「私が明に貰ったのと同じもの。これ、明のことを話してくれたり、聞いてくれたりした人たちに渡してるの」
咲穂とおばあちゃんは栞を受け取る。