黒猫さんの忘れたいこと。
「おはよーございまーす。」

べしっ

「いってぇ、酷いよ、ケンちゃん。何気に、本気で叩いてる。」


「馬鹿か。遅刻してる癖に何言ってんだ。当たり前だろ。」


俺のクラスの担任の山下健人、ケンちゃんだ。


「うぅ。」


言い返す言葉もなく、何も言えなかったので、ケンちゃんを睨む。


するとケンちゃんは、頬を染めて目をそらした。


あ、もしや


「ケンちゃん、ときめいちゃった?」


バコン


「いってえええ!」


「あほ。瀬川(せがわ)優希くん、後で職員室決定。そして、転校生が来るからそいつらに学校案内しろ。」


「ええー、やだよ!めんどくさい。」


「ん?何?なんか言ったか?」


「いえ。なんでもねーです。」


「そうか、よしじゃあ、座れ。」




くっそー、ケンちゃんの鬼め。




心の中でそう文句を言い、大人しく席に向かう。
俺の席は窓側の一番後ろだ。




席に着くと、隣からうるさいヤツが絡んできた。




「だっせーな、お前!馬鹿だろ!ぶっははは!」



この馬鹿にしてくるキーキーうるさいヤツは、日野 大輝(ひの だいき)
朝の電話でめんどくさかったほうだ。



「優希、おはよ。」


大輝の前の席からも声が聞こえた。

この、優しい紳士は、神田 直樹(かんだ なおき)。朝の電話で、爽やかだった方だ。




あ、忘れてたけど俺は、瀬川 優希(せがわ ゆうき)。
高校2年。よろしくー。



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