黒猫さんの忘れたいこと。
「うあぁ、どうしよう!どっち買おうかなー。」


「あー!僕もどっちか決めらんない!」


「もう、なんでもいいじゃねぇの。」


「ほんとですよ。早くしてください。転校初日から遅刻ってありえませんよ。」


「いつまで待たせる気?早くしてくれない?」


「・・・。」


双子とチャラいのとメガネくんと毒舌くんと無言くんがいた。全員、美形だ。



仲が良いなー。顔がいいからか絵になるわー。


そんなことを思いながら、いつも買っているチョコをとる。このチョコほんとにおいしいの。大好きなの。


「ほら!あの人みたいに決めとけばよかったんだよ。なんできめてこなかったわけ?あんたらのために時間使うとか本当嫌なんだけど。」


「だって!決めてたけど、実際来てみたら、他にもいいのがたくさんあるんだもん!」


「そーだよ!あの人みたいに迷いなく行ける人の方がなかなかいないよ!」



「分かったから、早く決めろ。」


あ、無口くんが初めて喋った。



無口くんが喋ったことに、おお!と感激しながらレジを済ませて、コンビニを後にした。


「あれ?あの制服、俺らと来てるのと同じやつじゃねぇの?」


「本当ですね。じゃあ、同じ学校の生徒でしょうか。」



後ろでそんな会話がされていたなんて、チョコに気を取られていた俺は気づかなかった。

< 9 / 14 >

この作品をシェア

pagetop