扉の向こうはいつも雨
沈む心は重たく桃香にのしかかり、何もする気になれなかった。
いつものソファ。心安らかな場所。
いつもは宗一郎が右に座って左側に桃香が座る。
互いに違うことをしていてもソファに隣り合って座った。
今はただ1人。
どれだけの時間が経っただろうか。
人の気配を感じて、顔を上げると先程よりも辛そうな宗一郎が壁に手をついて立っていた。
肩を上下させ、虚ろな目は何を映すのか濃いブラウンのまま。
その姿を見て跳ねるように立ち上がった桃香は宗一郎を支えるように駆け寄った。
支えようと伸ばした腕に痛みを感じて今度は桃香が振り払おうとしたが叶わない。
痛む腕には宗一郎が力任せにつかんだ手の爪が食い込んでいた。
苛立つようにコンタクトを外して再びこちらを向いた宗一郎は淡いブルーと薄いブラウンの瞳が不穏な光を放ち、桃香の腕を上げ持ち上げた。
「うぁああああ………。」
引っ張られた腕に激痛が走り、叫び声が漏れた。
腕に咬みつかれ肌に歯が当てられているのがこちらからも見える。
おぞましい光景に目を背けたいのに、飢えた野獣のような宗一郎はどこか美しかった。
フーッフーッ。
腕を咥えたままの荒い呼吸を聞いて、そこから意識を手放していた。
最後に見えた宗一郎の顔はどうしてか泣いているようだった。
いつものソファ。心安らかな場所。
いつもは宗一郎が右に座って左側に桃香が座る。
互いに違うことをしていてもソファに隣り合って座った。
今はただ1人。
どれだけの時間が経っただろうか。
人の気配を感じて、顔を上げると先程よりも辛そうな宗一郎が壁に手をついて立っていた。
肩を上下させ、虚ろな目は何を映すのか濃いブラウンのまま。
その姿を見て跳ねるように立ち上がった桃香は宗一郎を支えるように駆け寄った。
支えようと伸ばした腕に痛みを感じて今度は桃香が振り払おうとしたが叶わない。
痛む腕には宗一郎が力任せにつかんだ手の爪が食い込んでいた。
苛立つようにコンタクトを外して再びこちらを向いた宗一郎は淡いブルーと薄いブラウンの瞳が不穏な光を放ち、桃香の腕を上げ持ち上げた。
「うぁああああ………。」
引っ張られた腕に激痛が走り、叫び声が漏れた。
腕に咬みつかれ肌に歯が当てられているのがこちらからも見える。
おぞましい光景に目を背けたいのに、飢えた野獣のような宗一郎はどこか美しかった。
フーッフーッ。
腕を咥えたままの荒い呼吸を聞いて、そこから意識を手放していた。
最後に見えた宗一郎の顔はどうしてか泣いているようだった。