扉の向こうはいつも雨
前のめりで質問する桃香に苦笑した宗一郎を見て我に返って「ごめんなさい」と謝った。
「ううん。いいよ。
けど今は他の男の話はやめようよ。」
他の男って蒼様は宗一郎さんなんでしょ?
という疑問はいたずらっぽい笑顔を浮かべてシーっと人差し指を立てた宗一郎に遮られた。
「もっと僕たちは話さなきゃいけないことがあるでしょ?」
首を縦に振った桃香に柔らかい笑みを浮かべて宗一郎は続けた。
「塚田に聞いたよね。
僕が体調悪い時は1人にして欲しい。
心配なら塚田を呼んで、桃ちゃんがどうにかしようとは思わないで。」
優しい口調だけれど線を引かれたのが分かった。
「どうしてですか?って聞いてもいいですか?」
「塚田から聞いてないのかな。」
「言葉の呪縛に囚われているというのは聞きました。」
「そう。それ。
体が弱いから人を食べなきゃいけないって言われ続けたせいで、体調が悪くて意識が朦朧とするとダメなんだ。」
自分の腕を上げてシャツを捲って見せた。
桃香と違って宗一郎は包帯はしておらず、ひどい有り様が露わになる。
「包帯……した方が………。」
痛々しい腕を見て目を背けた。
白い肌は赤黒い痣を際立たせて、腫れ上がっているところもあった。
「これでいいんだ。自分への戒めとして。
痛い方が自分を律することが出来る。」
「もうしなくても大丈夫ですよね?」
悲しそうな瞳が伏せられて首を横に振った。
「桃ちゃんを傷つけないためだよ。
だから部屋に籠ったら入ってこないで欲しい。
それとも鍵を付けた方がいいかな?」
「分かりました。」
また線を引かれたのが分かって、そう言うしか無かった。
「ううん。いいよ。
けど今は他の男の話はやめようよ。」
他の男って蒼様は宗一郎さんなんでしょ?
という疑問はいたずらっぽい笑顔を浮かべてシーっと人差し指を立てた宗一郎に遮られた。
「もっと僕たちは話さなきゃいけないことがあるでしょ?」
首を縦に振った桃香に柔らかい笑みを浮かべて宗一郎は続けた。
「塚田に聞いたよね。
僕が体調悪い時は1人にして欲しい。
心配なら塚田を呼んで、桃ちゃんがどうにかしようとは思わないで。」
優しい口調だけれど線を引かれたのが分かった。
「どうしてですか?って聞いてもいいですか?」
「塚田から聞いてないのかな。」
「言葉の呪縛に囚われているというのは聞きました。」
「そう。それ。
体が弱いから人を食べなきゃいけないって言われ続けたせいで、体調が悪くて意識が朦朧とするとダメなんだ。」
自分の腕を上げてシャツを捲って見せた。
桃香と違って宗一郎は包帯はしておらず、ひどい有り様が露わになる。
「包帯……した方が………。」
痛々しい腕を見て目を背けた。
白い肌は赤黒い痣を際立たせて、腫れ上がっているところもあった。
「これでいいんだ。自分への戒めとして。
痛い方が自分を律することが出来る。」
「もうしなくても大丈夫ですよね?」
悲しそうな瞳が伏せられて首を横に振った。
「桃ちゃんを傷つけないためだよ。
だから部屋に籠ったら入ってこないで欲しい。
それとも鍵を付けた方がいいかな?」
「分かりました。」
また線を引かれたのが分かって、そう言うしか無かった。