人気No. 1ホストに秘密、バレました。
『……お金が、必要なんですよ』
「なんで?」
『父親が借金したまま行方をくらましたんですよ』
「まじか」
『まじっす』
「お袋は?」
『母親は俺が中2の時に肺炎で他界しました』
そう言うとアオイさんは頭をわしゃわしゃと掻き、自分自身のロッカーを開けて荷物を取り出した。
「ついて来い」
『は?』
「アフターだよ、アフター」
『いや、俺、アフターは…』
「いーから!」
否定する俺の手首を掴み、アオイさんは控え室を出た。
『ちょっと、アオイさん…。俺、睡眠時間が減るの嫌なんですけど…』
「んだよ?借金あんだろ?金必要なんだろ?」
『まぁ、そりゃ…そうですけど…』
少しため息つくとアオイさんはバイクや車で来ているホストが停める駐車場に向かい、一つのバイクに跨る。
黒ベースで所々赤い色が施されているそのバイクはなんだかアオイさんらしかった。
「乗れよ」
そう言って数歩後ろにいた俺にヘルメットを投げ渡した。