セーヌ川に魅せられて~パリジャンとの淡い恋~
案内された席は、外の景色の見えるいい席だった。
「メルシー!!」
私は、自信満々にそう言って、彼に微笑みかけた。
彼…
彼の胸に付けられた名札を見る。
『Alain』
読み方がわからない。
う~ん。
仮名、「アラン」は、私に向って、小さく拍手して、おどけた表情で言った。
「ドウイタシマシテ!」
私はアランに向かって、右手の親指を立てた。
「グーーー!」
「あはははは!」
私の愛しのアランは、目を細くして笑った。
そして、去って行った。
「悠希!やばい!あの人、好き!!!!」
「出たー!怜の惚れ癖!あんたはいつも一目惚れだからね~!でも、今回はハードル高いよ!」
私と悠希の会話をあきれたように聞いていた聖がポツリと呟く。
「パリジャンとの恋…」
おおー
なんて素敵な響き!
このフランスで、
このオシャレなパリで…
私は恋に落ちた。