セーヌ川に魅せられて~パリジャンとの淡い恋~
待ち伏せ
美味しそうなムール貝を運んで来たのは、アランではなかった。
アランより体格のいい彼は、アランよりも女性に慣れていた。
電子辞書を見つめる聖に甘い言葉をかけた。
私にはわからないけど、「かわいいね」と声をかけたらしい。
クールな聖も、まんざらでもなさそうに頬を赤らめた。
まだアランのこと、何も知らない。
でも、何となくわかる。
純粋そうな表情。
軽く声をかけたりできない真面目な人。
私は厨房から時々顔を出すアランに夢中だった。
フランス語を話したいと思った。
彼と話がしたい。