セーヌ川に魅せられて~パリジャンとの淡い恋~
アランの店の閉店時間が近付いて、私達はドキドキしながら、店へ向かった。
店の前の看板を片付けるアランが目に入った。
「あ!アランだ。」
大声を出した私。
アランは、キョロキョロと辺りを見回してから、私を見つけた。
「おー!!ボンソワール!」
アランは、告白する前の中学生のような3人組に微笑みかけてくれた。
「あ……あの、ネームネーム!」
意味不明な私の言葉に、アランは答えてくれた。
「ネーム?あぁ、アラン!ユアネーム?」
アランってば、本当にアランなんだ。
「はい!マイネーム イズ レイ♪♪」
英語の成績も最悪だった私。
「オッケー!レイ!」
うひゃぁ!!!
名前呼ばれた。
もう倒れそう。
覚えたてのフランス語を話す。
…写真撮ってください。
アランは、にっこり微笑んで、乱れてもいない髪を整えた。
「メルシー!」
私がそう言うとアランは、私の肩に手を回した。
聖は、何枚も写真を撮ってくれた。
フラッシュで目がちかちかした。
「今夜、何してますかって聞いてよ。」
悠希が聖に向かって、興奮気味に言う。
聖は、カタコトのフランス語でアランに話し始めた。
「アランは、今から帰るだけみたい。私達はセーヌ川へ行きますって言ったよ。」
アランは、セーヌ川の方向を指差しながら言った。
「グー!!」
「アラン、一緒に行きませんか!!」
私の日本語を、アランは必死で理解しようとしてくれた。