セーヌ川に魅せられて~パリジャンとの淡い恋~
「今頃眠気が来たよ…」
悠希は、私の肩に体重を乗せながら歩く。
「見て!!」
聖が指差したのは、教会。
まるでお城のような美しい建物。
日本とは全く違う雰囲気の街。
見るもの全てがかっこよくて、都会的。
自転車に乗る男の人が、パンをかじっていた。
すれ違う女性が、フランスパンを持っていた。
「これぞ、パリ!!」
デジカメで写真を撮りながらキョロキョロと辺りを見回した。
9月のパリは日本よりも寒く、コートを着ている人もいた。
「明日はハードだから、いっぱい食べなきゃね。」
しっかり者の聖が、鞄からしおりを出す。
明日の予定…
ヴェルサイユ宮殿、凱旋門…
パリのお買い物。
私は、すれ違うフランスの子供の後姿をデジカメに収めた。
「あ~お腹減った!」
「ここだよね、お店!」
一歩一歩近づいていた。
運命の出逢いに―――