強引上司に捕まりました
無理だって言って断ればいいのに…。
まぁ、上司から頼まれれば、断ることなんて出来ない。
そんなことをぼんやり考えていると、隣のデスクから鼻歌が聴こえてきて、また溜め息をつきそうになった。
今日はお医者さんとの合コンがあるとのことで、どうしても定時であがりたいらしい。
そういうわけで、彼女から先ほど未処理のファイルを振り分けられてしまった。
先輩に頼まれれば、これまた断ることなんて出来ない。
私は頼まれれば嫌とは言えない性格の持ち主なのだ。
早速仕事にとりかかろうとしたところで、隣のデスクの先輩に話しかけられた。
「緒川さん、来週末は空いてる?この前知り合った証券会社の人たちと合コンするんだけど、どう?」
どうと言われましても、困ります…。
おそらく引き立て役か、もしくは人数合わせってところだろう。
卑屈でもなんでもなくて、私は素直にそう悟った。