強引上司に捕まりました


無理だって言って断ればいいのに…。

まぁ、上司から頼まれれば、断ることなんて出来ない。

そんなことをぼんやり考えていると、隣のデスクから鼻歌が聴こえてきて、また溜め息をつきそうになった。

今日はお医者さんとの合コンがあるとのことで、どうしても定時であがりたいらしい。

そういうわけで、彼女から先ほど未処理のファイルを振り分けられてしまった。

先輩に頼まれれば、これまた断ることなんて出来ない。

私は頼まれれば嫌とは言えない性格の持ち主なのだ。

早速仕事にとりかかろうとしたところで、隣のデスクの先輩に話しかけられた。

「緒川さん、来週末は空いてる?この前知り合った証券会社の人たちと合コンするんだけど、どう?」

どうと言われましても、困ります…。

おそらく引き立て役か、もしくは人数合わせってところだろう。

卑屈でもなんでもなくて、私は素直にそう悟った。

< 2 / 43 >

この作品をシェア

pagetop