強引上司に捕まりました


課長の言葉に首を傾げる。

熱があると言われても、全く自覚がない。

「熱なんて…」

熱なんてないです、と言いかけた私の身体がグラッと揺れた。

倒れるっと思った瞬間、私の身体は力強く抱き締められ、事なきを得た。

どうやら無事に仕事を終えて、力が抜けたらしい。

思いの外、緊張していたみたいだ。

「車で来てるから送ってく。荷物はこれだけか?」

「そんな、悪いです。タクシーで帰りますから…」

「こんな状態でなに言ってるんだ。ほら、行くぞ」

確かに足元はフラフラしている。

課長に支えられて、ようやく立っていられる状態。

「課長、すみません…」

お言葉に甘えて送ってもらうことにした。

< 20 / 43 >

この作品をシェア

pagetop