強引上司に捕まりました
課長の頼み
週末しっかり身体を休めてたっぷり睡眠をとったお陰で、週明けには体調はすっかり元通りになっていた。
私は出社するなり、足早に課長のデスクに向かった。
「課長、おはようございます。金曜日はありがとうございました」
「緒川、体調は大丈夫か?」
「はい。もう大丈夫です。ご心配おかけして申し訳ありません」
ペコッと頭を下げた後、課長があくびしている姿が目に入った。
いつもきっちりしていて隙がない課長があくびなんて、今まで見たことがない。
「あの、コーヒー淹れてきましょうか?」
「あ、あぁ。頼む。ちょっと寝不足なんだ」
「はい」
給湯室に向かい、濃い目のコーヒーを作り、コップに注いでいると、背後から名前を呼ばれた。
「緒川」
振り返ると、そこには課長がいた。
「ちょうど今コーヒー入りました」
自ら給湯室に取りに来るくらいだから、余程眠たかったのだろうか。