強引上司に捕まりました
「悪い。だいぶ待たせたか?」
「いえ、大丈夫です。まだ待ち合わせの時間までだいぶ早いですよ」
「お腹空いてるだろ?行こうか」
課長はスマートに会計を済ませると、自然に私の手を繋いで歩き始める。
慣れない私はどうしても慌ててしまう。
「課長、ここ、会社の近くですし、誰かに見られたら…」
「別に誰に見られようと構わない。隠してるわけじゃないし」
課長は手を離すどころか、更に強く握り締めてきた。
「上には既に報告したし、もし訊かれたら俺の婚約者だと言うから。清華はなにも心配するな」
「!?」
名前!?
初めて課長に名前で呼ばれた。
ただそれだけのことに、胸がドキドキと高鳴る。
いやいや、それよりも、今さらっととんでもないことを言われた気がする。