強引上司に捕まりました
即答した課長は意地悪く笑っている。
「恭平さん…」
意を決して課長の名前を呟く。
ただそれだけのことなのに、私の顔は真っ赤になっている。
課長は満足そうに、そして少し照れた表情で頷いている。
「名前を呼べた褒美に、後でいいものやるよ」
「なんですか?」
「後でな。まずは腹ごしらえだ」
美味しそうな匂いがしてきて、お腹の虫が鳴りそうになる。
裏通りにある和食のお店に到着した。
客層は男性が多く、総務課の真島課長とたまに訪れるらしい。
またひとつ、課長のプライベートを知ることが出来て、幸せを感じる。
「あの、手続き云々というのは?」
「結婚したら、いろいろ手続きあるだろう?」
さらっと、ごく当たり前のように言われたけれど、数秒経ってから心拍が急上昇していくのがわかる。