強引上司に捕まりました
会社の人に知られたところで、誰も信じてくれないような気がする。
お店を出て、隣を歩く課長をそっと見上げた。
さっきから、すれ違う女の人たちの視線を感じる。
間違いなく課長のことを見ている。
社内は勿論だけれど、こうして外にいても、課長がカッコいいということを実感する。
その隣を歩いてるのが私って…。
そんなことを考えていると、課長は私の頭を軽く拳骨した。
「いたっ」
「また変なこと考えてただろ。清華はわかりやすすぎる。ほら、着いたぞ」
「あれ?ここは…」
どれだけぼやっとしていたのだろうか。
いつの間に着いたのか、そこは夜景が綺麗だと有名なビルの展望フロアだった。
遅い時間のせいか、人はまばら。
等間隔に設置されたベンチには、2組のカップルが座っているだけだった。