強引上司に捕まりました
残業の夜
時刻は20時になろうとしていた。
いつもはもっと遅くまで残業している営業課の社員たちも、今日は珍しく早々に退社していった。
19時の時点で営業課のフロアにいたのは私と課長だけ。
二人きりになった時、ふと視線を感じて課長のほうをチラッと見ると、目が合ってしまい何度か瞬きを繰り返した。
「終わりそうか?」
戸締まりの関係で私が帰るまで課長も帰ることが出来ないようだ。
思いの外、未処理のファイルに手間取ってしまい、申し訳なさでいっぱいになる。
「まだかかりそうです。遅くなって申し訳ありません。私が戸締まりしますので、課長はあがってください」
なかなか積み上がったファイルは減っていかない。
もしかしたら終電にギリギリ間に合うか間に合わないかくらい、時間がかかりそうだ。