お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
人を掻き分けるようにして、中央あたりにある自分のロッカーにたどり着いたら、「莉子、おはよ!」と明るい声を隣に聞いた。
同期で所属部署も同じ、今一番親しい付き合いをしている上村茜(かみむらあかね)だ。
私たちは営業部で、外回りの社員のサポートをする事務系の仕事をしている。
少し茶色い顎下までのショートボブが似合う彼女は、やたらとポジティブな考え方の持ち主で、その点以外は気の合う友人だ。
この不快な空間にいても、元気な笑顔を見せてくれる彼女に「茜、おふぁよ……」と、今日何度目かのあくびをしながら答えれば、「寝不足?」とおかしそうに笑われた。
その後に、ハッとしたように問われる。
「昨日、見合いだって言ってたもんね。さては、お相手と暑い夜を過ごしてたな? 今回はうまくいったんだ。よかったね、莉子!」
あくびひとつで、そこまで想像できる茜はすごい。
彼女の大きな声の会話に周囲の視線が私に向いたのを感じ、「ちょっと声のボリューム落とそうか。そういう噂は広まりやすいからね」と注意して、着替えをしながら誤解を解く。
「見合いはせずに逃げたんだ。寝不足なのは親のせい。電話で深夜まで叱られてね……」
同期で所属部署も同じ、今一番親しい付き合いをしている上村茜(かみむらあかね)だ。
私たちは営業部で、外回りの社員のサポートをする事務系の仕事をしている。
少し茶色い顎下までのショートボブが似合う彼女は、やたらとポジティブな考え方の持ち主で、その点以外は気の合う友人だ。
この不快な空間にいても、元気な笑顔を見せてくれる彼女に「茜、おふぁよ……」と、今日何度目かのあくびをしながら答えれば、「寝不足?」とおかしそうに笑われた。
その後に、ハッとしたように問われる。
「昨日、見合いだって言ってたもんね。さては、お相手と暑い夜を過ごしてたな? 今回はうまくいったんだ。よかったね、莉子!」
あくびひとつで、そこまで想像できる茜はすごい。
彼女の大きな声の会話に周囲の視線が私に向いたのを感じ、「ちょっと声のボリューム落とそうか。そういう噂は広まりやすいからね」と注意して、着替えをしながら誤解を解く。
「見合いはせずに逃げたんだ。寝不足なのは親のせい。電話で深夜まで叱られてね……」