お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
茜に話しながら、昨日を思い出し、げんなりしていた。
ホテルから少し離れた場所でタクシーを拾い、自宅アパートまで戻ったら、もう一苦労が待ち受けていた。
玄関ドアの脇に置いているサボテンの鉢の中に、スペアキーが見つからない。
もしや……と思い、音を立てずにドアノブを回せば、玄関に母の草履が揃えて置かれているのが目に入り、そのままそっとドアを閉めた。
ホテルのフロントに預けたままにしていた、私のスマホや財布を届けてくれただけなら感謝したいところだが、もちろんそうではない。
父はホテル周囲を捜索し、母は私の帰宅の可能性を考えて、先回りして待ち伏せる作戦に出たようだ。
遅刻しても見合いの席に連れ戻す気が満々な様子で、ホテルを出て四十分ほど経っているというのに、まだ諦めていないことを察した。
それで私は自宅に入れず、大家さんのもとへ行く。
私の住む築五十年の古い二階建てアパートを所有しているのは、すぐ隣の一軒家に暮らす八十間近の、人の良いおばあさんだ。
ホテルから少し離れた場所でタクシーを拾い、自宅アパートまで戻ったら、もう一苦労が待ち受けていた。
玄関ドアの脇に置いているサボテンの鉢の中に、スペアキーが見つからない。
もしや……と思い、音を立てずにドアノブを回せば、玄関に母の草履が揃えて置かれているのが目に入り、そのままそっとドアを閉めた。
ホテルのフロントに預けたままにしていた、私のスマホや財布を届けてくれただけなら感謝したいところだが、もちろんそうではない。
父はホテル周囲を捜索し、母は私の帰宅の可能性を考えて、先回りして待ち伏せる作戦に出たようだ。
遅刻しても見合いの席に連れ戻す気が満々な様子で、ホテルを出て四十分ほど経っているというのに、まだ諦めていないことを察した。
それで私は自宅に入れず、大家さんのもとへ行く。
私の住む築五十年の古い二階建てアパートを所有しているのは、すぐ隣の一軒家に暮らす八十間近の、人の良いおばあさんだ。