お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
成田さんは驚きに目を見開いて彰人を見ていた。

そして震える声で「高旗専務……」と呟いた後は、言葉が出ないようだ。


彼の入社一年目の不祥事や誓約書については初耳だ。

その詳細を聞きたい気持ちはあるけれど、今は彰人の正体を知られたことに焦り、『どうするの?』という気持ちで彼のシャツをぎゅっと握りしめていた。


専務が部下と同居していると知られたら、沽券に関わると言ったのは彼だ。

それなのに、名乗ってはいなくても会社に関わる話をして、成田さんに自ら素性をバラしたようなものである。

専務としてのプライドや立場より、私に二度と手を出さないようにと、それを大事に考えてくれたということなの……?


鼓動が三割増しで速度を上げていた。

どうしよう……心が嬉しがっている。

彰人をデレさせた時以上にキュンとして、こうして抱きしめられていることが急に照れくさく感じる。


頬が火照っていることを自覚していた。

きっと離れたら、赤面していることがばれてしまうだろう。

それも恥ずかしいので、もう少しこのままでいたいと、広い胸に顔を埋めた。

< 137 / 255 >

この作品をシェア

pagetop