お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
そうすると、爽やかな洗濯洗剤の香りがした。

私もその洗剤を使わせてもらっているので、私たちはきっと同じ香りがすることだろう。

意識してみると、それもなかなかくすぐったい。


私と彰人の同居事情を唯一知っている茜の顔が、ふと浮かんだ。

月曜日のランチで、こんな気持ちになったと教えたら、なんと言われるだろう?

フフッと嬉しそうに笑われて、『それは恋だよ』と決めつけられそう。

いつもの茜節で、これが恋愛感情の芽生えだと説得されては困るから、今日のことは話せないな……。


それから数分後。

彰人は私だけを乗車させて、帰路に車を走らせている。

成田さんは酔っていないことがわかったので、置いて帰っても大丈夫。

というより、彼の気持ちとして、専務の車に乗りたくはないだろう。


あの後、企んでいたことを認めた成田さんが私に謝罪して、月曜日に会社で、もう一度誓約書を書かせる話となった。

『三度目は許さないからな。たとえ未遂であってもだ』という彰人の言葉に彼は青ざめ、殊勝な態度で『はい、すみません』と繰り返していた。


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