お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
「お前は隙が多いのに、その自覚がない。だから騙されやすそうだと思ったんだ」
「隙って、どんな?」と問えば、彼が小さなため息を漏らす。
言いたくないけど仕方ないといった顔をして、前を見ながら話してくれた。
「お前、同居初日から、寝室のドアに鍵をかけずに寝てるだろ。よく知らない男とふたり暮らしが始まったというのに、危機感のない奴だと呆れたな」
鍵は……確かにかけたことはないけれど、専務という立派な立場にいる彼が、部下である私を夜這いするとは思えないし、現に私の部屋に入ってきたことはない。
だから、鍵をかける必要性はないと思って聞いていた。
しかし同時に、指摘には一理あるとも感じる。
今なら自信を持って、彰人は私を無理やり襲うような悪党じゃないと言えるけど、同居開始時の彼は白か黒か、『よく知らない男』に違いない。
それまで、二度しか会話したことがなかったのだから。
反論と納得を一緒に心の中で展開させていたら、彰人は「まだある」と話を続けた。
「隙って、どんな?」と問えば、彼が小さなため息を漏らす。
言いたくないけど仕方ないといった顔をして、前を見ながら話してくれた。
「お前、同居初日から、寝室のドアに鍵をかけずに寝てるだろ。よく知らない男とふたり暮らしが始まったというのに、危機感のない奴だと呆れたな」
鍵は……確かにかけたことはないけれど、専務という立派な立場にいる彼が、部下である私を夜這いするとは思えないし、現に私の部屋に入ってきたことはない。
だから、鍵をかける必要性はないと思って聞いていた。
しかし同時に、指摘には一理あるとも感じる。
今なら自信を持って、彰人は私を無理やり襲うような悪党じゃないと言えるけど、同居開始時の彼は白か黒か、『よく知らない男』に違いない。
それまで、二度しか会話したことがなかったのだから。
反論と納得を一緒に心の中で展開させていたら、彰人は「まだある」と話を続けた。