お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
「バスルームにも鍵をかけない」と呆れ声で指摘され、「あ……」と呟いた私はそのことを今、意識する。

けれども、それに関しては、正論めいた言い訳をすぐに思いついた。


バスルームは脱衣所も含めて八畳ほどと広く、そこには洗面台や洗濯乾燥機も設置されている。

床や洗面台は黒大理石で、脱衣所の壁の一面だけが紺色に塗装され、都会的なお洒落を感じさせる空間だ。

私が入浴中に鍵をかければ、彰人が洗面台や洗濯乾燥機を使いたい時に困るでしょ、と言いたかった。

脱衣スペースはカーテンで仕切ることができるので、鍵をかけなくても裸を見られることもない。

彰人が覗こうとしなければ。


バスルームの鍵に関しては、危機感のなさとは別の理由で閉めていないのだと心の中で主張する。

変わらず前を見て慎重に運転している彼なのに、なぜか私が納得していないのが伝わったようで、チッと舌打ちした。

そしてこれならどうだとばかりに、別の責め方をする。


「お前、今日はピンクのレースの下着をつけているだろう」


その言葉に私は目を見開き、服を着ているのに胸元を両手で隠してしまう。

指摘の通りであったからだ。

< 142 / 255 >

この作品をシェア

pagetop