お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
「ピンクのレースだけじゃなく、莉子の十組ほどある下着は全部把握してるぞ」

「ええっ!?」

「この前の休日、お前は乾燥機に洗濯物を入れっぱなしにして外出しただろ。だから俺がーー」


その話は衝撃的であった。

彰人も乾燥機を使いたいから、私の放置していた洗濯物を取り出して、下着は畳んで、ブラウスやスカートにはアイロンをかけてくれたらしい。

そして、それらを私の部屋のクローゼットにしまうまでをやってくれて、その時に収納されていた他の下着も目にしたそうだ。


それを、今教えられるまで気づかなかった私って……。

下着を畳まれたことよりも、男性との同居生活にそこまで気を抜いている自分を恥じて、ショックを受けていた。


「な、隙だらけだろ?」と鼻で笑われても、「はい。その通りです」と素直に頷くしかない。

自己分析として、しっかり者だと思っていたのに、彰人のおかげで危機管理能力が低いと認識を改めた。

そして今後は、意識的にリスクを避けなければと自分に注意を与える。


「同居人が彰人でよかった……」と呟いたのは、彼なら私を襲うはずがないと思ってのことである。

< 144 / 255 >

この作品をシェア

pagetop