お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
俺のために必死に戦え

◇◇◇

成田さんに騙されそうになった日から十日ほどが過ぎ、今日は水曜日。

「美味しかった。ご馳走さまでした」と言った私は、ふたり分の食器をキッチンに下げ、軽く水ですすいでから食洗機に入れた。

正面のカウンターテーブルに向かって着席しているのは彰人で、スーツのズボンにワイシャツ、その上にエプロンという姿である。

彼の分まで食器を片付けてあげた私に対し、「おい、お茶」と尊大に言い放つから、ムッとした。

その言い方はまるで、長年連れ添った妻に対する夫の如きだ。


「昭和の亭主関白男みたい」と非難したが、「朝食は俺が作ってやったんだ。食後のお茶くらいお前が淹れろ」とただちに反論され、それに対して私がまた言い返す。


「作ってやったって、恩着せがましいな。私が作っても味が濃い薄い、だしの取り方がどうこう文句をつけるから、全面的に任せてるんじゃない。朝から料理教室を開催されて、遅刻するのは二度と嫌だよ」

「減らず口ばかりだな。遅刻したくないというなら、さっさとお茶を淹れろ。茶問屋の娘だけあって、お前が淹れた方が旨いから頼んでいるんだ」

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