お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
それぞれの班に私たちのような事務職の社員がひとりずつ配置されていて、私は三班、茜は九班の担当であった。

彼女とはデスクの位置がかなり離れているので、「じゃあ、またお昼に」と手を振り別れて、私はドアから程近い自分の席にショルダーバッグを下ろした。


続々と社員が出勤してきて、広々とした営業部のフロアはスーツ姿の男女で混み合う。

外回りをする女子社員は制服ではなく、スーツ姿だ。

そのため水色の制服を着た私は、営業部内では目に付きやすい格好だと言えるかもしれない。

「織部さん、おはよう」と、わざわざ私のデスク横を通って声をかけてくれる男性社員たちに、職場用の笑顔で挨拶していたら、あっという間に始業時間になった。


最奥に私たちを統括する部長デスクがあり、定年間近の貫禄ある男性、岩寺部長が立ち上がる。

それが朝礼を始める合図である。


司会進行は係長の仕事で、九人いる係長が交代で勤めている。

今週の担当は八班に所属している三十代男性係長のようだ。


全社員が起立して、全体指示を聞く。

週始めの月曜は特に指示が多いため、私は聞き漏らさないように集中してメモ帳にペンを走らせていた。

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