お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
「もう見合いは嫌だという気持ちを両親にわかってほしくて逃げました。ですが専務には多大なご迷惑をおかけしまして、本当に申し訳ございません。図々しいお願いですが、どうかこのままファンベル製菓で働かせてください」
相槌も頷きもなく、私の話を黙って最後まで聞いていた専務は、おもむろに立ち上がった。
執務机を回って私の横に立つ。
彼の方に体を向ければ、五センチヒールのパンプスを履いていても、リンゴふたつ分ほど上から見下ろされ、気圧されそうになる。
私の気持ちと事情をわかってもらいたいので、その圧に耐えて視線を逸らさずにいたら、フンと鼻を鳴らされた。
「名前も聞かず写真も見ずに、俺を拒否したということか」
「はい。すみません」とはっきり答えれば、彼の男らしい指が私に伸びて、顎をすくった。
十五センチほどまで、急に顔を近づけられる。
キスされるのではないかと、大きく心臓を跳ねらせたが、色気のある展開には進まず、彼は私の目の奥を覗き込みながら挑戦的な声色で問う。
「それならば、見合い相手が俺だと知った今は、どう思っている。それでもお前は、俺に不足があると言うのか?」
相槌も頷きもなく、私の話を黙って最後まで聞いていた専務は、おもむろに立ち上がった。
執務机を回って私の横に立つ。
彼の方に体を向ければ、五センチヒールのパンプスを履いていても、リンゴふたつ分ほど上から見下ろされ、気圧されそうになる。
私の気持ちと事情をわかってもらいたいので、その圧に耐えて視線を逸らさずにいたら、フンと鼻を鳴らされた。
「名前も聞かず写真も見ずに、俺を拒否したということか」
「はい。すみません」とはっきり答えれば、彼の男らしい指が私に伸びて、顎をすくった。
十五センチほどまで、急に顔を近づけられる。
キスされるのではないかと、大きく心臓を跳ねらせたが、色気のある展開には進まず、彼は私の目の奥を覗き込みながら挑戦的な声色で問う。
「それならば、見合い相手が俺だと知った今は、どう思っている。それでもお前は、俺に不足があると言うのか?」