お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
その言い方には、俺を断る女はいないという自信が透けていた。

傲慢に思えるが、確かに社長の息子で大企業の専務取締役であることや、容姿端麗で男らしく逞しい体つきを見れば、女の方から寄ってきそうな男である。


けれども私の目にはかえって、その点がマイナスに映る。

容姿はともかく、お坊っちゃまとは相性が悪いのだと、これまでの見合い相手が私に教えてくれたのだから。


お坊っちゃまだから無理だと言ってしまおうかと迷ったが、これでも少しは社会経験を積んだ大人の女性なので、なるべく相手を傷つけないような断り方をしようと試みる。


「高旗専務の見た目はとても素敵だと思います。ですが、中身を知りませんので、なんとも答えようが……。それに私はーー」


私はお嬢様ではなく、実家は落ちぶれて、専務と見合いをする資格もないのだと言おうとしたのに、途中で言葉を遮られ、「それなら」と彼が話しだしてしまった。


「中身を知った上で判断してもらおうか。そうだな……二カ月あれば充分だろう。今日から二カ月間、俺の家で寝起きしろ」


真顔で突拍子もない命令を下す彼に、私は末端社員であることも忘れて「はあ!?」と失礼な驚き方をした。

< 32 / 255 >

この作品をシェア

pagetop