お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
喧嘩するほど相性がいい?
◇◇◇
高旗専務から同居命令が下されてから半日ほどが過ぎ、今の時刻は二十一時四十分。
私がいるのは彼の自宅のリビングで、持ってきた荷物を段ボール箱から出しているところだ。
仕事を定時で終えた後は、忙しかった。
帰宅して、二カ月の同居に必要な荷物をまとめ、引越し業者のおじさんとふたりで、軽トラックでそれを運び終えたのが一時間半ほど前のことである。
専務は遅くまで仕事らしく、まだ帰宅していない。
住所をメモした紙と鍵を渡されただけで、朝、専務室に呼び出されて以降、顔を合わせていなかった。
ただ、荷造りをしていた時に、今日交換したばかりのアドレスからメールが届き、そこには気遣いとも嫌味とも取れる言葉が綴られていた。
【言い忘れていたが、引越しに関わる経費と同居期間の光熱費、食費等は全て俺が出す。貧乏人のお前には払わせないから安心しろ】
貧乏人と言われるほどに金銭的に困窮してはいないが、毎月、給料日前には財布の中身を気にしているのは確かだ。
専務が払ってくれるというなら、ありがたくそうさせてもらうことにする。
こんなに立派な分譲マンションに、ひとり暮らししているのだから、お金が余っていそうだしね……。