無敵の剣
「先生、私に何か言うことあるでしょう」




刺々しく、言う




「薬の事かな…」



コクリと頷いた



「僕は、医者です
人の命を救うことを第一に考えてます」



先生の言葉には、真実を語る強い意志が籠もっていた



「僕が… 彼女を殺したと
疑っているんでしょう?」


「ええ」


「あの薬は、ゼン君が手配したものなんだ」


「人のせいにする気?」


「そうじゃない!昨日、ゼン君に問い詰めた
あの薬は、慶喜様が取り寄せてくれたと…」


「慶喜様…?」


「壱さん、この先は…
あまり… いい話ではない」



慶喜様は、会津公と仲がよかった
雪の名前は、表に出せない


先生が、言いにくそうにしている理由は




「私の名前を使って薬を?」


「っ!!  …すまない!!」




会津公のところには、壱がいた

壱が… 私を…


雪が死んだのは、私のせいだ…


「私が… 殺したということか…」


「違う!!! 壱さん!!
僕が薬を確認していれば…
彼女を死なせたのは、僕だ!!
僕が… 彼女の主治医なのに…
良くならない彼女を診るのが辛くて…」


「良かった… 先生が悪い人じゃなくて…
新選組の皆を診てくれてるって聞いたから」


ゴソッ



「土方君!!!」


「よう!先生!」


「はぁ~ おかしいと思ったんだ!
壱さんをひとりにして、君が帰るなんて
あっ! いや、なんでもない!!」



雪の名を口にしたかもと
慌てたんだろう



「疑って、すみません」


「では、診察させて貰えるかな?」


「お断りします!」


「お前なぁ!!」


「誤解しないで下さい!
ものすごく元気いっぱいなので!!」




2人に笑ってみせる









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