無敵の剣
「私は、壱ですって」


「江戸で調べてんだよ」


「兄でも、弟でも
一緒に生まれたんだから、同じです」


「お前は、昔から名前に執着がねぇって
奉公先の斎藤が言ってた
自分らしくあることを心がけていて
努力家だって
でも、弟の壱は自分を一と書類に書いたり
名乗ったりしてた
お前の事を真似してたって」


「斎藤に会ったの?」


「良い奴で、お前の事心配してたよ
だから!確信してる!
お前が、一!アイツは、壱だ!」


「今は、向こうが一で
私が壱になったんだ 
ゼンさんに、私が死んだと伝えて貰った」


「は?」



私は、土方さんの胸を押した



「なので、新選組には戻れない!
私は、名前なんて何でもいい
今は……過去を振り返りたくない
これからの事を考えたい」


「一には、もう…
俺達は、過去なのか?」



「……そうだ」



私は、壱と入れ替わった日の事を思い出し

苦笑いした



「一」



「土方さん、私は壱」


「でも、お前は…」


「離れて…」


土方さんを押しのける



「静かにして」




空気が一瞬、違った












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