無敵の剣
「死んでくれって、頼んだのに…
なんで、生きてんだ!!!」


「てめぇ!!」


「土方さん!!!」



壱に飛び掛かろうとする
土方さんを呼び止めた



「殺してやる…」



嘗て私が使っていた刀が抜かれる音がした



「新選組も大した事はない
局長の妾は、屯所に入り浸り
参謀は、外に出てばかり
総長は、切腹 副長は、引き篭もり
一番隊隊長は、労咳
やれ、宴だ酒だと騒ぐ奴らばかり
お前は、昔から見る目がなさすぎる」



「一! 壱!
土方さん!どうなってるん!?」



「ゼンさん!火が回るかもしれないから
私達の家から、あの箱を避難させてくれ」



「わかった」



土方さんが前に立ちはだかって
楯になってくれているのは、わかっていたから、背中を掴んで横に押した



「おい!お前、見えねえだろ!!
抜刀してんだぞ!近づくな!」


「なめないで… 見えなくても…
私は、戦える」



しばらく待つが、壱に動きはない

土方さんは、私を信じてくれている



「私の仲間を馬鹿にするのは、許せない
壱… 見る目がないのは、そっちだ
皆の事、何にも見てないんだな」



火消しの為に人が集まってくる気配


「うわっ!2人並ぶと似てるなぁー!
つーか、お…女だったのか!?」


「永倉さん! ここには、人を近づけないで
今、取り込んでるから!」


「おう!任せろ!」




「斎藤一を、壱にあげるのやめた」


「何を今更!!!」


「皆、私達を見分けてる
私が女の格好だからじゃない!
私達にちゃんと信頼関係があったからだ
女であることを隠す為に、ある程度は
距離を保っていたが
私の嫌がることや踏み込まれたくないところとか、わかってくれてた
壱… 私は、ずっと壱が羨ましかった
壱が恵まれていると思ってたから
ずるいなって
壱は、私になりたいのか?
本当に、私として生きたいなら…
力づくで奪え!!」


「見えてないんだろ?
殺してやるよ…
お前がいなければ!!
俺は!!家族にも認められたはずだ!!」


「認められてただろう!!
手加減なんかするなよ!?
私は、全力で相手してやるよ!
目が見えなくても、私は負けない!!
壱!私は、壱の為に生まれたんじゃない!
壱の影武者みたいに生きるのはもうヤダ!」



「俺だって!同じ顔なのに!!!
一より、強いし! 何でも出来る!
なのに!!! 何で一ばかり好かれる!!」



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