無敵の剣
野宿をしたり


住み込みで働いたり



場所を転々とした





ようやく落ち着いた場所は、生まれ育った江戸から離れた京の都





「斎藤はん!こっち、手伝っておくれやす」


「ん」



「お味よろしい?」


「ん」





「それ、終わったら風呂焚きお願いします」


「ん」





旅籠の用心棒 兼 料理人



ここは、「ん」だけで通じる





気を使うことはない


使われることもない





薄い関係だ







私が居なくなっても気づかないかも

それほど、薄い





毎日が何もない





時々、酒浸りが暴れて
宿賃を払わないと言い出したりする



そんな時でも、刀を抜くほどのこともなく



最近は、素振りをすることもない





唯一、体を鍛えることは、薪割りくらい







このまま、ここで終わるのかな…






それも良いだろう







どうせ、行く当てなんかないんだ













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