無敵の剣
「斎藤はん、おおきに、元気でな」



主人が旅籠を閉めると言い出した


突然のことではあったが、仕方の無いこと



「お世話になりました」




フラフラと京の町を歩く

住み込みの仕事を探すが、腰にある刀で嫌煙される



近頃、物騒な話を良く耳にする
それが原因だろうとは、わかっていても

私にとって刀は、半身のようなもの
手放すことなんて出来ない





町をさまよって、野宿する場所を探す




「にゃあーん」




寺で猫の鳴き声がした



「お前も行く当てがないのか?」




「んにゃあー」




警戒することもなく、私の膝で丸くなる



おそらく飼い猫だろう




猫の背中を撫でながら、温もりに感謝する




京の寒さは、苦手だ






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