無敵の剣
考えごとをしながら

道場で素振りをしていた




ゼンさんや壱の事


土方さんと君菊


何より




私を避ける藤堂さん





藤堂さんは、壱と私を見分けられないから

入れ替わったことを伝えたいのに





ちゃんと、気づいてくれているならいい




藤堂さんと話がしたいな…










「おい  おい!  おいっ!!!」

















バシッ









木刀が受け止められて、ハッとする



「うわっ…」


「てめぇ!人の顔見て、うわっとか言うな」


「土方さんの顔じゃなくて
考えに夢中で、気づかなかったから
敵なら、やられてますね」




気を取り直し、素振りを再開しようとする




「待て 話があんだよ!」


「ああ すみません なんですか?」



「君菊の事…」


「君菊がどうかしたんですか?
具合が悪い?」


「違う    俺は、お前の事…」


「土方さん 私は、貴方のそばにいて
手足にも、楯にもなります
でも、恋仲にだけはなりません
傍目に男同士ですし
こういう話もしたくありません
君菊との事、本当に良かったと思ってます」



土方さんが、泣きそうな表情になる



私は、冷静に微笑む



こんな時こそ、私の感情が出せない
この顔が役に立つ



「隊務を休ませているんだ
あまり、無理するな」


「はい もう少ししたらやめます」




私は、素振りを再開する






雪…





先生に伝えなかった

雪の気持ち



多分



今の私と一緒だな…













別れを予感しているから
























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