無敵の剣
酒を飲まない宴は、人の動きがよく見える



体の大きな永倉さんの横で
同じく体の大きな原田さんが小さく
山崎さんとの合図をしてくる


〝伝えたいことがある〟 と…



勘弁してくれ、馬鹿2人…



こんなところで、合図をバラされて
今後、山崎さんと使えなくなるだろ



上手くやっているつもりなのか?




体の大きさを自覚してくれ




「なぁ 一は、密偵なのか?」



ほら、平助にバレた



「そんなふうに見えるか?」


「いや… あの2人が…」


「あの2人は、私達に絡みたいだけだろ」


「……たしかに」



まったく…   余計なことを









平助と一緒に部屋を出ると

後から、2人がくる




「斎藤、この前何があったのか知らねえけど
あれから、土方さんと総司、口聞かねえんだ!もう、険悪っつーか、俺ら冷や冷やして!!助けてくれよ!!!」



「左之… 馬鹿なの?」




私の代わりに平助が原田さんに言う



「俺らは、御陵衛士なの!
新選組のゴタゴタは、自分らで片付けてよ」


「平助~おめえは、いつからそんなに
冷てえ奴になったんだ!?
俺達が困ってんのによぉ!!!」



永倉さんと原田さんが
平助を弄り倒す




確かに、沖田さんは土方さんと
会話をする素振りはなかった




伊東さんの巻いた種は、スクスクと育ち
新選組の関係も壊し始めている







恐ろしい人だ








「平助 戻るぞ」


「おう!」



「永倉さん、原田さん
沖田さんに私は、大丈夫だと伝えて」


「「は?」」




2人は、間抜けな顔をした




沖田さんなら

私の考えがわかるだろう




〝大丈夫〟




それだけ伝わればいい





















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