無敵の剣
私は、雪の家を出て大阪へ向かった
雪の双子の弟
徳川家茂様に呼ばれたからだ
松本医師と大阪城へ
「姉上が世話になったな」
色白で華奢な体、笑った顔は
雪に似ていた
「世話になったのは、私です
雪との暮らしは、とても楽しかった
出来ればもっと… 一緒にいたかった…」
ついつい、雪に語りかけているような口調になってしまった
「生まれてすぐに引き離され
人を介してしか、姉上とは関われなかった
一緒に生まれたが故、姉上は外に出された
とても苦労をしただろう…
だが、一緒に暮らしたいと思う
其方のような友を持ち、姉上が幸せであったように思う
俺には、友などおらぬから… 羨ましい…」
家茂様のお顔を見て、壱と重なった
何不自由なく生きてこられたはず
望む物は、全て満たされる
でも、本当に欲しいものは望めない?
家督を継ぐとか、決められた道を外れることが許されない立場からすれば
私や雪は、やりたいように生きてこられた
雪には、集落の皆が家族だった
私は、二郎と呼ばれ、弄られていたが
壱より、友が多く、上からも下からも
懐かれていたように思う
壱は、私と違い会話が出来るけど
そういえば…
誰かと出掛けたりは、見たことがない…
壱は、壱で
悩んでいたのかも…
なのに、私は壱を拒んでしまった
今頃、気づいて何になる
もう…
私は、山口の子ではなくなったんだ
雪の双子の弟
徳川家茂様に呼ばれたからだ
松本医師と大阪城へ
「姉上が世話になったな」
色白で華奢な体、笑った顔は
雪に似ていた
「世話になったのは、私です
雪との暮らしは、とても楽しかった
出来ればもっと… 一緒にいたかった…」
ついつい、雪に語りかけているような口調になってしまった
「生まれてすぐに引き離され
人を介してしか、姉上とは関われなかった
一緒に生まれたが故、姉上は外に出された
とても苦労をしただろう…
だが、一緒に暮らしたいと思う
其方のような友を持ち、姉上が幸せであったように思う
俺には、友などおらぬから… 羨ましい…」
家茂様のお顔を見て、壱と重なった
何不自由なく生きてこられたはず
望む物は、全て満たされる
でも、本当に欲しいものは望めない?
家督を継ぐとか、決められた道を外れることが許されない立場からすれば
私や雪は、やりたいように生きてこられた
雪には、集落の皆が家族だった
私は、二郎と呼ばれ、弄られていたが
壱より、友が多く、上からも下からも
懐かれていたように思う
壱は、私と違い会話が出来るけど
そういえば…
誰かと出掛けたりは、見たことがない…
壱は、壱で
悩んでいたのかも…
なのに、私は壱を拒んでしまった
今頃、気づいて何になる
もう…
私は、山口の子ではなくなったんだ