無敵の剣
「早い…」  「一瞬だったな」




ポツリとそんな声がチラホラ聞こえる





「よっしゃ!次は、俺とだ!!!」





永倉さんが腕を回しながら私の向かい側へ




私は、木刀を左手に持ち替えた





「そう、こないとな…」



永倉さんがニヤリと笑う




私が左利きなのは、今の新選組では
知る者が少ない



「斎藤さん…手加減したんですか…」


市村君が、悲しそうに言う


「私が手加減したように見えたか?
私は、本気で市村君を打ちにいったよ
永倉さんとは、実戦の経験が違う
私の手の内も知られている
挑戦者として、永倉さんを打ちにいくんだ
勝つ為には、手段は選ばない」




道場が静まり返る


私の本気度は、変わらない
永倉さんの気迫が、そうさせている



余裕を見せているくせに、隙が無い




勝ちたい





私は、口元が緩むのを感じた


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