無敵の剣
永倉さんを見ながら
ゆっくりと牙突の構えをする



男女の力の差も怖いが

なによりも永倉さんの太刀筋の鋭さは
本当に恐怖ものだ


稽古をつけているのを横目に見て
ゾクッとしたことを覚えている


「なぁ 斎藤…
お前が総司を負かした日の事が
俺は忘れられねえんだ…
総司は、天才だが
お前は、無敵だと思った…
お前とだけは、真剣を交えたくねえ」


「奇遇だな
私も、永倉さんとは、闘いたくないと
ずっと思っていた」



永倉さんは、ダンッと足を踏み鳴らしたが
前にはこなかった


それを読み


私は、冷静に構えを崩さない




永倉さんは、この構えへの
攻め方がわからない



突破口を見つけた




ダンッ




今度は、私が足を踏み鳴らし前へ



永倉さんに突き技が有効かは謎だが



永倉さんの構えからして
下段には、逃げ場があると見た


思い切り突き技を出すと避けながらも
木刀がブンッと振られた


滑り込むようにして、それを避けながら
永倉さんの胴を肘打ちして


木刀を弾こうとしたが
全然ビクともしない!!!


見た目よりも、しっかりしてんなぁ



木刀を何度か打ち合い
手が痺れてきた



負けたくない!!!

膝裏に足を掛け、首に木刀をつける



「勝者 斎藤!」








「ああーーーくっそぉ!!!
やっぱりかぁーーー!!!」








物凄く残念そうだが
永倉さんは、全然息を乱していない







私は、疲れたし、手が限界

肩で息している







「腹立つ!!!永倉さん!!!
もう一回!!!」


「はあ??? お前が勝ったのに???」





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