無敵の剣
「風にあたってくる」




船が沖に出ると、少し体調が回復した



「うわっ 広っ」



海の大きさと夕焼けに感動する



「おい」



土方さんが、少し怒った声で呼ぶ



「なんですか」



冷静に振り返る



「さっきの… 山崎が言ってたこと…
本当なのか?」


本当だと言えば、どうなるんだ?
このまま、嘘を通したかったのに



「答えろ」


私は、俯いた


「あの血は、なんだったんだ」


「……あれは」


私が言い澱むと



土方さんが胸ぐらを掴みあげてきた



「てめえ… 俺に嘘や隠し事なんかしてんじゃねぇぞ
俺はな、お前の事を信じているから
嘘とか見抜けねえんだよ!
どれだけ心配したと思ってんだ!!!」



土方さんが、全部言えと目で訴えてくる




私は、土方さんの両手を包み
胸ぐらから離させる



「着物… 脱がされるのとか
人前で着替えをすることが…怖いんです
嫌な思い出があるとかじゃないんですけど
屈辱っていうか…
土方さんを拒んだのもそういうことで
私は、山崎さんの察し通り生娘で…」



頭を下げた



「すみません!
沖田さんにお願いして、医者にも
嘘をつかせました!」







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