無敵の剣
沖田さんは、いつも私の味方だった


労咳と聞くだけで、爪弾きされる

私は、沖田さんの味方でいたい



沖田さんが、私にしてくれたように





「二郎、土方って奴が前に訪ねてきたが
もし、また来たらどうする?」


「知らないと答えてくれ」


「わかった
……なぁ?その喋り方気をつけろ
折角の娘姿に合ってないぞ」


「あははっ!! 斎藤君こそ!!
一の事、二郎って可笑しいよ?」


「あ… 」




布団でぐっすり眠れるようになったおかげで、沖田さんの体調は、すっかり回復した








困ったように後ろ頭を掻く斎藤を見て
私達は笑う




思わぬカタチで夫婦になったが




沖田さんと江戸に潜伏するなら
高島さんが用意してくれた
この家で夫婦としている事が
病にも、隠れるにも良い



「俺は、ここには顔出さないからな
宗次郎さん、早く病を治せよ!
雪! しっかり宗次郎さんを支えろよ!」


私は、力強く頷いた







「雪 よろしくお願いします」



沖田さんが頭を下げる



「こちらこそ、不束者ですが
妻として、精一杯
宗次郎さんを支えます!」




偽りなのに、本当の夫婦のように
挨拶を交わす





いつの間にか、私を一と呼んでいたのに
祝言を終えてからは、雪と呼び

私を愛おしく見つめる



照れる



慣れないことに戸惑いながらも

色々な人からの祝福に

幸せな気持ちになる



不思議なものだ



望んだ相手ではないのに…















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