無敵の剣
庭の梅が満開を迎えた


私達は、それを眺めながら
みたらし団子を頬張り、お茶を飲む



「なんだか、新婚というより
老夫婦みたいだね」



沖田さんが笑う




「慌ただしく京を出たから、なんだか
日がたちませんね」


「この前の話、受けなよ!」



この前の、と言うのは
祝言の席で、高島さんの息子さんの妻が
懐妊中で世話人を探しているという話


「でも…」


「そんなにすぐ死にませんから」


「宗次郎さん!」


「クスクスッ 体調が良い時は看病もいらないから、って事だよ!」


「新婚ですし…
2人の時間も大切にしたいんです」


「まるで…本当の夫婦みたいな事を言うね」


「……いや、本当の夫婦でしょ」


「ああ、そうでしたね
私は、良い夢をみているつもりで…ははっ」



私は、お茶を後ろに下げ

沖田さんの隣にピタリと座る

コテンと、沖田さんの肩に頭を預ける


「夢じゃないですよ」



沖田さんは、左手で私の肩を抱き寄せる



「夢みたいなものだよ…」



どういう意味か、教えてくれなかった

それに…


沖田さんは、私を好いている素振りを見せない

聞き間違いじゃないはずだけど


こうして、私がそばにいけば触れるが
夫婦のようなことは、してこない


別に期待してないし

むしろ、体調を考えれば
無理はいけない


ただ、少し







さみしいだけだ




















< 296 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop