無敵の剣
母が、沖田さんをジロジロ見る


「一、壱は… 元気なの?」




沖田さんがニコリと笑顔を見せて
私の方に向いた

つられて、母が私に視線を移した



「は… 」



「雪です」



沖田さんが、母の声に被せた




「どうぞ! 中にお入り下さい!!」



慌てた母に招かれて
久しぶりの実家にあがる


懐かしい…




廊下の柱に手を触れる


兄や姉、壱の成長が刻まれている


私は、断固拒否していたから



ここに名がない




沖田さんもそれに気がつく



「ふふっ一君らしいね」



私… らしい…???




通された客間に、父と兄が来て
驚いた顔で、私を見る



「高島宗次郎と妻の雪です
本日は、突然おしかけてしまい失礼かとは
思いましたが、どうしても一君と壱君のご家族にお会いしたく、参上いたしました」


「一…」


「あぁ一君は、新選組へ入隊し立派にやってますよ!」


ニコニコしている沖田さんは、凄い
父と兄が、口を開け
一なら、ここにいるぞ?
と、言っているようだ



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