無敵の剣
お茶を持って来た母は


「高島さん、わざわざありがとうございます!雪さんもありがとうございます!」



冷静だった







私は、母に似たのか


無口なところは、父


家族に関心がないとこは、兄


お節介は、姉だろうか




などと考え事をしてしまう



沖田さんが空気を読み、会話をしてくれる


私は、その沖田さんをニコニコと見ていた




本当に、助けて貰ってばかりだ



壱も沖田さんに家族の事を言っていたようで


「壱君は、物凄く反省しました!
色々ありましたが、2人はとっても仲良くなって、助け合っていますよ!」



「そうですか 安心しました
ところで
お二人は、いつ夫婦に?」




「今年の春、私の義父家族のみで
祝言を挙げました
私、病を患っておりまして
雪の献身的な看病のおかげで
毎日が、本当に幸せいっぱいです!」



久しぶりに見た
沖田さんの身振り手振りに
クスッと笑ってしまう



「なんです? 笑うことありましたか?」


「いいえ 宗次郎さん そろそろ」




3人揃って、玄関外まで見送りに来た




ここを出た日

私は、私の為に旅支度をしてくれていた家族に、背を向けた


産んで、育ててくれた感謝も言わず


憎く思うくらいにあった



こんな親不孝な私を受け入れてくれた



二度と会うことはないと思っていた



「雪さん、お幸せにね
高島さん、雪さんを大切にね」



母が別れに掛けてくれた言葉が
嬉しかった



「ありがとうございました
育ててくれて…

と、一が言ってました」



初めて、ちゃんと家族の顔を見た気がした


こんなふうに笑うんだ…



姉上は、よく私に絡んできたから
覚えているけど



「壱にも幸せにと伝えて貰っていいかしら」


「顔を出すように伝えます」












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