無敵の剣
土方の足取りは、軽かった


出立の数日前に小姓の市村を先に行かせた
万が一、本陣が移動する際には、市村が行き先を告げに引き返す為だ



ーーーあいつに会える





不謹慎だろうかと、頭に過るが
合流するまでの間だけでも、喜びに浸りたくて
ニヤける口元を隠す事もなく
歩き続ける















「…何、笑ってるんですか? 気持ち悪い…」













声に顔を上げると怪訝な顔した一が
口元を引きつらせて立っていた





「おまっ… なんで!?」




「本陣が移動するから、知らせにきた
市村君の方が良かったですか?」






土方が微笑む

「いや、お前が良かった」






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