無敵の剣
ゼンさんと浪士組に行きながら
話をしていた


「おい!一、何かあったら
全力で逃げるんや!
一のことは、おかぁから頼まれてんだ
俺の命に代えても守るからな!!!」


凄い意気込みを感じた


「ふふっそんな危険なところじゃない
何より、万が一にも
ゼンさんが死んだら、私は恨まれるだろ」


「アホか!おかぁは、雪の友である一が
1番大事なんや!」


「息子より大事なはずがあるか」


「……ああ
一、俺は本当の子やないぞ
おかぁに育てられたけど…
せや、ちゃんと教えてなかったもんな」



あの集落にいる目の見えない人々は
毒味女中という役割だったらしい


徳川家 朝廷 大名屋敷など


毒に当たり、目が見えなくなったのだ



「おかぁは、和宮様に仕えてたんだ」



なるほど…


和宮様は、家茂様と御結婚している


ゼンさんをチラリ


「歳をとってから産んだ子だとばかり…」


「似てねぇだろうが」


「そうだな お婆さんみたいに勘が良くない
ゼンさんは、嗅覚は鋭いが…
他はまるでダメそうだもんな…」


「はぁっ!? なんだとぉ!?」


「クスクス」



お婆さんは、ゼンさんを本当の子として
育てている


愛しみ、大事に育てたはずだ


私にわかるのに、ゼンさんは鈍い




「ん?なんだ?この…不味そうな臭い…」




朝稽古から参加しようと思っていたのに

ゼンさんの嗅覚のおかげで


朝餉作りから、見極めの一日が始まった






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