無敵の剣
一日を浪士組で過ごした

帰り道


「……良い奴らだな」


「ぷっ」



あまりにも、不満そうだから
吹き出してしまった


「私は、浪士組に入りたい」

「一が楽しそうやから…ん? 火事か!?」


ゼンさんの嗅覚は、少し離れた場所の火事を嗅ぎつけた

そして、その火事に芹沢さんが絡んでいた




「入隊は、もう少し、検討した方が良いな」




ゼンさんが、もう一度浪士組へ行きたいと言うので、今度は泊まりで行くことになった




そして、その夜

浪士組に出陣命令があり、私達は
屯所の待機をすることになった


「危険な仕事であることは、間違いない
命を賭けるに値する、僕はそう思ってます」


待機組を指揮する山南さんが語る



「土方君は、優しい
本当は、咽から手が出るほど
欲しいのに、無理強いしたくないらしい
だから、斎藤君の意思で
浪士組へ来るまで、待つつもりです
僕は、せっかちなので
2人とも入隊すれば良いのにと
言いたくてたまらなかったよ!
土方君が、怖い顔するから言えなかった
ふふっ どうですか? 浪士組へ」





せっかちそうな、土方さんが我慢して
気長で優しそうな、山南さんが
実は、せっかちで

ゼンさんも誘ってきた



これには、ゼンさんもあんぐりと口を開け




「おい、一…どういうことや?」





私に聞かないで欲しい




「そのままの意味だろう」




早く答えを聞かせてくれという表情で
山南さんが私達を見る






「即決は出来ない
私には、皆さんのような志が足りないように思えてならない」


「俺は、無理! 仕事辞めてここに入るほど、剣の腕ないし!」




「そうですか やはり、待つしかないか」




山南さんは、満足げに微笑んだ








< 35 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop