無敵の剣
久しぶりに2人きりになった夜



土方が一を抱きしめた


「市村をつける
俺の実家で待っててくれるか?」



土方のそばで産むつもりだった一には
とても寂しいお願いだった
盛岡に出陣する為、そこから江戸に2人で行くように言われたのだ



「わかりました」



行きたくないなどと、我が儘を言える戦況ではなく、移動が多い為
皆の負担になってしまうことを考えると
とても言えなかった



言えないかわりに
目を閉じ、土方の温もりを噛みしめた






「よし!姉に文を書いて持たせる!」






机に向かう背中を懐かしい気持ちで
静かに眺めていた



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