無敵の剣
翌日


帰宅する私達は、つけられているのを感じ
目で合図し、追っ手をまいた

私達の集落へは、からくりがあり
簡単には、入れない




浪士組の天井に潜んでいた人だろう

ゼンさんも気がついていたのか
鈍感だと思っていたが


「忍か…」



私は、ゼンさんを見つめた

ゼンさんが、そんなことまでわかるなんて




「…あ 俺、家茂様に仕えてたんだ」


「へぇ」



気のない返事をすると


「色々、黙ってて悪かったな」


「質問したわけじゃない 
何の出稼ぎかと気になっていたが
わざわざ聞くことではない」


「一のそういうとこ!
本当に良いとこや!浪士組やなくて
家茂様に仕えて欲しいなぁ」


「断られたよ」


「……」


「浪士組に入れば、家茂様を御守りすることに、変わりないと思うんだ
雪に頼まれたから…
そんな志では、ダメだろうか
私は、この刀と生きていく
彼らのような大きな目標はない
雪の望みを叶えたい… それだけ…」


「男所帯で、不自由だぞ」


「それは、慣れてる
江戸の奉公先も、男所帯に近かった」


「浪士組に入りたいんだな」


「私は、浪士組に入る」


「おかぁ、寂しがるやろなぁ」


「時々、帰る この家を守らなければ」


「…そうか 決めたか…」






「ああ 決めた
浪士組に入って、家茂様を御守りする!」









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