無敵の剣
素振りをしている間は、何も考えずに
心を穏やかに出来た


自分がこの先、どう生きるべきかなど
悩まずにすんだ



壱みたいに剣術が優れていたとしても
同じように誉められることは、ない



壱の真似はしない

只でさえ、見た目が同じだから









でも、人前では、右利きの構えをする

ひとりで素振りをする時だけ
利き腕の左で構える



私は、壱じゃない
私は、私なんだ



そっくりな容姿が嫌いなわけではない


壱の事も好きだ




だけど、私は



壱とは、違う生き方をすることになる


そう、確信している









女だから


両親に、疎まれてるから


姉に面倒を掛けているから


兄に相手にされていないから






私は、いつか


この家を出て、ひとりで生きていくはず



















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